ビニールハウスを自分で建てたいけど、
・何からすればいいの?
・どんな道具が必要なの?
かつての私がそうでした。動画などで解説されているものと全く同じビニールハウスであればそのまま建てれるでしょうが、実際は圃場、立地スペース、中古再利用ハウスなど人それぞれで変わってきます。
この記事ではそんな悩みを解決できるよう初心者でも失敗しない支柱位置の測り方・水平の取り方を紹介します。

水平取りが重要な理由
ビニールハウスを建てるのに最も重要なのが寸法・水平を取ることです。
その理由を主に3つにまとめました。
しっかり測っておかないと‥
・荷重が偏る
・ビニールの張り具合に影響が出る
・見た目に差が出る
荷重が偏る
支柱やアーチに荷重が偏り、結果バランスが悪くなり台風や強風時に倒壊のリスクが高まります。
台風が直撃しにくい地域でも積雪による重みでビニールハウスが圧迫され、支柱となるパイプなどが折れたり歪んだりすることによって倒壊します。
荷重をバランス良く分散させしっかり強度を保ちましょう。
ビニールの張り具合に影響が出る
ハウスがガタガタしていることによってビニールをピンと張れず、たるみやシワができやすくなります。
その結果、風でバタついたり、雨水が溜まったりしてビニールの破損の原因に。
ビニールは消耗品ではありますが、運用コストを抑えるためにできるだけ長持ちさせたいところです。
見た目に差が出る
見た目は重要です。自分で作ったハウスが真っ直ぐ美しく並んでるとテンション上がりますよね。
また第三者が見た時に見た目=仕事の丁寧さとして判断されやすいです。
自己消費だけでなく販売も視野に入れるならなおさら見た目も気にしましょう。
というわけで、見た目と耐久性を確保するためにどんな道具を準備すれば良いか事項では紹介していきます。
ビニールハウスの水平取りに必要な道具とその使い方
ここからは道具とその役割を紹介していきます。
水糸とは?役割と選び方
水糸とは?
水糸(みずいと)は、建築工事などの際に水平線を示すために用いる糸。「水縄(みずなわ)」とも言われる。

水糸の主な用途
・支柱やアーチの一直線のライン出し
・地面に対して水平を確認
・均等な間隔で直線状に物を並べるときのガイド
特にビニールハウスでは、支柱やアーチを真っすぐに並べる基準線として使います。
結び方や使い方はこちらの動画でわかりやすく解説されています。

小屋をDIYした時も使用しました。いろんなシーンで活用できるので、この機会にマスターしておきましょう
水糸の選び方
ではハウス建設の場合どんな水糸がよいか主に3つの点に注意して選びましょう。
- 素材 ナイロン製 水に強く屋外作業に適しています。
- 太さ 0.8mm~1.0mm 一般的なサイズです。大きなハウスを建設される方は太い水糸(1.0mm~1.2mm程度)を選びましょう。
- 色 ピンク・黄緑・蛍光色が人気。日中でもよく見える。
私は奥行き30mのハウスを建設したので太さ1.2mm 色ピンクの商品を使用しました。
水平器の種類と比較
水平器とは
水平器(すいへいき)または水準器(すいじゅんきとは、物の「水平(水平線)」や「垂直(鉛直)」を測る道具。
水準器(すいじゅんき)は、物体の表面に密着させて、水平または鉛直に対する物体の角度や傾斜(水平、垂直、45度など)を確認する器具。水平器あるいはレベルとも称呼されている。
内部に「気泡入りの透明な管(水準管)」があり、気泡の位置で傾きを確認します。


水平器の主な用途
・支柱やアーチが傾いていないかを確認
・水糸が正しく水平に張れているかを見る
・壁や棚などの傾き修正
・ハウスの土台や枠のレベル調整
気泡の位置で傾きを確認できます。ハウス全体の仕上がり精度に直結しますので準備しておきましょう。
水平器の選び方
水平器もいくつかの種類があります。ここではハウス建設における水平器の選び方を解説していきます。
- 水糸に吊り下げるタイプ
- マグネット付き水平器
- レーザービームレベル(レーザー水平器)
1.水糸に吊り下げるタイプ(ぶら下げ式水平器)
特徴 軽量で小型。水糸に直接ぶら下げて使う。
用途 張った水糸が「水平になっているかどうか」を確認する。
メリット | デメリット |
---|---|
現場作業中でも取り付けが簡単。 安価で入手しやすい(数百円〜)。 | 糸がたるんでいるかが一目で分かる。水平しか測れない(垂直・角度は不可)。 | 強風下では揺れて見にくい。
2.マグネット付き水平器
特徴 金属部分にくっつけられる磁石がついている水平器。棒状やL型など形状は様々。
用途 金属パイプや鉄骨に取り付けて、水平・垂直・斜め(45度)を測る。
メリット | デメリット |
---|---|
支柱やアーチの取り付け角度確認に便利。 水準管が複数ついていて、水平・垂直・斜めが1台で測れるモデルも多い。 | 両手が空くので作業が楽。サイズが大きめなものもあり、狭い場所では扱いづらいことも。 | アルミや木材など磁石が効かない場所では使えない。
3.レーザービームレベル(レーザー水平器)
特徴 水平・垂直の「光のライン」を照射する高精度の測定器。
用途 長距離にわたって正確な水平・垂直ラインを出したいときに使用(支柱・棚・地面レベルなど)。
メリット | デメリット |
---|---|
高精度(誤差±1mm以下の機種も)。 高さ合わせ・位置出しが1人でも効率的にできる。 | 広範囲に水平ラインを可視化できる(10m以上も可)。高価格帯(数千円〜プロ用は数万円)。 屋外の明るい場所ではレーザーが見えにくい場合がある。 | 電池式または充電式なのでバッテリー管理が必要。
まとめ比較表
タイプ | 主な使い方 | 精度 | 価格帯 | 特徴 |
吊り下げ式 | 水糸の水平確認 | 普通 | ◎ 安価 | 水糸にぶら下げるだけ。簡易確認向き |
マグネット付き | パイプの水平・垂直確認 | 高め | ○ 手頃 | 手を使わずに固定可。支柱・骨組み測定に便利 |
レーザー式 | 広範囲・高精度なライン出し | 非常に高い | △ やや高価 | プロ向け精度。広いハウスや複数人作業に便利 |
どの水平器が合っているかは、ハウスの規模や予算によって変わります。
私はマグネット式水平器のみでやりましたが、吊り下げ式も使っていればもっと楽に作業ができたと思っています。
次項から実際の手順について解説していきます。
ビニールハウスの四隅を直角にする
ビニールハウスを建てる前に必ず必要となるのが、位置決めです。建てるビニールハウスの寸法に合わせて杭を立てていきましょう。



私の場合は間口4.5m、全長30mの寸法をとり、杭を打ち込みました
その際、何もないところに綺麗な直角で杭を打ち込むのは至難の技です。
そんな時はピタゴラスの定理を活用しましょう。
ピタゴラスの定理「3:4:5」の法則を使う
ざっくり言うと
まっすぐ、直角をつくるための便利な公式です。
詳しくはこちらの動画で分かりやすく解説されています。
私もこの方法で綺麗な直角を出すことができました。
動画だけでなくチャットGPTに質問するのもいいでしょう。実際私は斜辺が4.95mだったので微調整方法を教えてもらいました。




このように動画や解説通りにいかないこともあるので、そんな時にはチャットGPTを活用してみましょう。
アーチパイプの水平をとる
アーチパイプを建てる時に地面のレベルが不均等だとアーチパイプの高さがバラバラになってしまいます。
そんな時は地面のレベルが低い地点を起点にしてパイプを打ち込む深さを調整しましょう。
こちらの動画で非常に分かりやすく解説されています。
私が建てた圃場もアーチパイプの始点と終点で10cm以上はレベルが違いました。
アーチパイプの頂点を水糸で繋ぎ、水糸の水平をとりながらパイプの打ち込みを調整しました。


ぶら下げ式の水平器があればこの作業が格段に楽になりますよ。
まとめ 水平・測定が成功の9割を決める
ビニールハウスづくりで一番大事なのは、実は「建てる前の準備」です。
中でも「水平をとる」「支柱の位置を正確に測る」といった地味だけど超重要な作業が、完成度を大きく左右します。
どんなに頑丈なパイプを使っても、どんなに丁寧にビニールを張っても、土台の位置や水平がズレていたら、歪んだり強度が落ちたりしてしまうんです。
でも逆に言えば、
- 水平をしっかりとる
- 支柱の位置を正確に決める
- 四隅を直角に出す
この3つさえ丁寧にやれば、その後の作業はスムーズに進みますし、強くて長持ちするハウスが作れます。



最初に時間をかけたぶんだけ、あとがラクになります。
ぜひこの「測定の工程」にこそ、力を入れてください!
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